シマグニズム避難所

先週の日曜日に河野さんの講演会に行ってきた。

避難所では、長文は書くまいと思っていたが、講演会の内容をレポートして、そのことを知らせていくということは重要だと思い、書いてみるとする。

以下、レポートです。

松本サリン事件から10年
市民を陥れた“表現の自由”〜その時メディアは加害者に〜
講師：河野義行氏（長野公安委員）
主催：八王子学生代表者会議

河野さんは松本サリン事件で冤罪を被った被害者である。そのご本人による報道被害、ブラックジャーナリズムについての思いを、静かに語っていた。とても重い言葉であった。また深く考えなければならない重大なテーマであった。

松本サリン事件発生当時、俺は中学生だった。テレビを見ていて“なんだか会社員が毒薬使って人殺して、挙句に自爆したらしい”こんな感じだろう。要するに完璧に河野さんが犯人だと思っていたわけだ。あれだけ派手にマスコミが報道していれば、そうなってしまうよね。まだ社会の黒い部分も知らない中学生だもん。ってか、あの当時、河野さんが犯人じゃないって思っていた人間を知らない。

その後、地下鉄サリン事件が起こって、松本サリン事件もオウム真理教による犯行だと判明した。河野さんは冤罪だった。マスコミ各社は謝罪した。正確に言えば、謝罪したらしい。それは、俺自身、その謝罪やお詫び報道を見ていないからである。確かもうオウムの一連の事件で逮捕者が続出していた頃、アニキに「そーいえばあの会社員ってどうなったの？」と聞いて、「あの人は冤罪だった」 この時、初めてその事実を知ったくらいだ。

大々的にメディアが河野さんを犯人だと報道した。しかし、間違いであったと報道したのが、ちょっとの時間であったというエピソードだと思う。

人間間違いはある。

マスコミだろうと、ジャーナリストだろうと、間違いを起こすこともあるだろう。しかし、その記事、その発言に対する責任感の希薄が報道被害を生むのだと思う。また、発行部数を上げる為なら嘘でも書くというブラックジャーナリズムの姿勢はもってのほかだ。

さらに問題は、読み手と書き手の認識のギャップだ。

上述の俺の例がその最たる一例である。

要するに書き手であるマスコミは間違いを認め謝罪をした。が、それは読み手である俺には伝わっていなかった。その結果、報道被害を受けた被害者に対して、間違った情報を持ち続けている俺。こういう図式である。

河野さんの話を聞いていて思ったことは、

“この人、良く生きていられるな〜”

これに尽きる。

そもそもサリンの被害を受け入院しているのに、追い討ちをかけるようにマスコミによる言葉の暴力を受ける。警察の嫌疑の尋問も不当なものだし、自宅への無言電話などの嫌がらせも半端ない。そんな話を淡々としておられる河野さんのパワフルな精神にリスペクトした。

報道被害による被害は尋常ではない。それを知るのに、余りある体験談だった。

本当に当時、犯人だと思ってしまって申し訳ありませんでしたm(__)m

現代は、情報が至る所に溢れかえっている。新聞読まなくとも、ニュース番組をテレビで見なくとも、インターネットがあれば、どんな情報も手に入れることが出来る。いわゆる、情報化社会ってやつだな。弊害も多々あるが、普通に便利である。

この情報化社会で大切になってくるのがメディアリテラシーであろう。

これは今に言われているものでもないが、各種メディアを使いこなす力のことである。それぞれのメディアの特性を知り、それを使いこなすのだ。新聞なら新聞、電話なら電話、ネットならネットと、それぞれに長所も短所もあり、またそれを利用した情報操作もある。それを知ることが大切なのである。

講演会の主張を聞くと、しょうもない情報は買わない（週刊新潮など）といった主張だった。商業主義とジャーナリズムが結びついたときに、スポンサーへの偏向性の高い記事や、デマでもパッと見で面白いものを記事にしてしまうなんてことは幾らでも起る。ということは、そのような情報を端から除外しておくのは大切なことだ（一回でも前歴あれば疑った方が良い）。しかし、それだけでは絶対に駄目だ。

メディアリテラシーを身に付けなくては！！